見える化手法

第7回 「フリーソフトウェア」


最近はExcelやWordなどのoffice系のソフトウェアなどにも無料で使えるものがあり、お使いの方もおられるかもしれません。

今回は私がこれまで紹介させて頂いたようなツールの製作をはじめ、日々の仕事の中で使っているフリーソフトウェアを紹介させて頂きます。

 

まず使用頻度として高いものにCAD系のソフトウェアがあります。

これは私が3Dプリンターを使うことが多い事と、工場のレイアウト検討などに使用する場合が多いためです。

3Dプリンターで使用するための3D-CADソフトは様々なものがありますが、私が主に使うのは「Blender」で、このソフトは3Dアニメーションの作成などに使用される事もあるだけあって、画面表示が非常に美しく、また画面処理スピードも速いため快適に設計を進める事ができます。

2D-CADとしては「DraftSight」を使っています。これはダッソー・システム社が提供しているソフトで、AutoCADとよく似た(というよりほぼ同じ)使い勝手で、なぜこれが無料なのか、色々な意味で不思議な製品です。いずれにしても、性能も申し分ありません。

 

少し専門的なところでは流体解析系のフリーソフトウェアとしてDEXCS(OpneFOAM)は素晴らしい機能を提供してくれています。

私のクリーン化技術の中で重要な位置を占めるのが「気流の見える化」ですが、流体解析を行う事で、様々な事象の解析や改善結果の予想が可能になる事の利益は計り知れません。

コンピューターによる流体解析の歴史は古く、これまでも多くの有用な使われかたをしてきましたが、精度の良い解析を行うためには膨大な計算を行う必要があり、一昔前はスーパーコンピューターやワークステーションといった高性能な装置が必要でした。また何よりもソフトウェアは非常に高価で、現在個人レベルで流体解析ソフトが使用できる事は、私からすればまさに夢の世界です。

パソコンの性能向上と、DEXCSやOpenFOAMの素晴らしいソフトを提供してくださっている皆さまには感謝しかありません。

 

元々は上記の流体解析を行うために導入したOSである「Linux」も、フリーソフトウェアの歴史を語る上で不可欠なものです。

私は現在仕事では主にApple社のMacBook Proを使っていますが、ORACLE社から無料で提供されている「VirtualBox」を導入する事で、MacOSの上でLinuxが動作する環境となっています。

またWindow もOSは自体は有料となりますが、MacOS上で動く環境になっていますので、Windowsにしか対応していないソフトもMac上で使用できます。

 

Linuxはそれ自体がフリーOSなため、この上で動作するソフトも無償で高性能なものが多くあります。

例えば最近では画像処理が必要な案件が増えてきたため、「OpneCV」という画像処理系のライブラリ(ソフト部品のパッケージ)を使用してソフトウェアを開発しています。これはインテル社が開発・公開しているライブラリで、様々な画像処理ソフトの作成を簡単に行う事ができます。これを使うためにはC++やPythonといったプログラミング言語の知識は若干必要ですが、私が主に使っている無料開発環境「Eclipse」も様々な機能を提供をしてくれるため、以前に比べるとソフト開発も格段に楽に進める事ができます。

 

実験の結果分析のために必要になる場合があるのが、統計解析ソフトです。

Excelにも簡易な解析機能が実装されていますので、以前はこれを使う事が多かったのですが、なぜかMac版のExcel2011にはこの機能がないため、簡単な解析には「StatPlus」というフリーフソフトを使っています。

他に統計解析系のソフトとしては「R」が有名で、多彩な解析機能を持ちますが、基本的にキーボード入力による操作のため直感的に扱いづらいという問題がありました。

この点で「EZR(イージーアール)」を使えば「R」の多彩な機能を、簡単なマウス操作で扱うことができ、結果も分かりやすいものを得ることができます。

 

この他にも様々な計測器や実験装置を作るために使用するArduino IDEやmbed(エムベッド)などの開発環境も無料でいつもお世話になっていますが、今回も長くなってしまいました。

個別のソフトウェアの機能の説明や事例紹介は、また回を改めてお伝えする事にしたいと思います。