見える化手法

パーティクルセンサVer.2

第2回 「パーティクルセンサ」


 前回ご紹介した異物の可視化照明と並んで、近年のクリーン度改善に欠かせないツールが、空気中に浮遊する異物の量を定量的に計測するためのパーティクルセンサです。

 

従来こうした浮遊する異物の定量化の用途には、いわゆるパーティクルカウンターのようなハンディタイプの測定器が用いられる事が多かったのですが、対象とする工程によっては次のような点が問題となるケースがありました。

①測定は一般的に人手によるため、手間(=測定コスト)がかかる。

②同様な理由で、クリーン度の変化を捉えるための連続データを取る事が難しい。

③測定対象粒子径が5μm程度までの機種が多く、大きなサイズの異物の定量化に難がある。

 

こうした問題点に対応するのが、連続的な浮遊異物量の計測が可能なセンサで、私が使用しているOMRON社のエアパーティクルセンサZN-PD50S(粗粒子計測タイプ)では粒子径5〜50μmの浮遊異物を連続的に測定する事ができます。

また、これに記録装置を接続することでデータの自動取得が可能になり、単発的な測定値だけでは見えてこない時系列の変化から、原因究明につなげる事が可能になります。

 

またシステム全体をバッテリー駆動としてパッケージ化する事によって、設置場所の制約を受ける事がなくなり、人間の立ち入りが難しい場所の測定データから意外な問題点が見えて来る事も多くあります。

 

以上のような特徴から、近年活躍の機会が非常に多いパーティクルセンサですが、その使用にあたって注意が必要となる場合があります。

それはセンサの性格上、基本的には浮遊する異物のみ測定するため、(重力による落下速度が速い)大きな粒子はセンサが検知する前に床面などに落下してしまい、カウントされない場合があるという事です。

 

このためパーティクルセンサでの測定の際には、測定が必要な異物サイズを明確にすると共に、落下する異物を確実に捉えられる場所を選択したり、落下塵を見える化するための他の手法と組み合わせたりする工夫が必要な場合があります。